こんにちは。投資家・ブロガーの中田健介です。
少額から気軽に行える投資として人気が高まっているソーシャルレンディングですが、過去にはさまざまなトラブルも発生しています。 今回は、2018年から2019年にかけて発生したラッキーバンク事件について解説します。
ソーシャルレンディング「ラッキーバンク」とは
「ラッキーバンク」は、2014年にサービスを開始したソーシャルレンディングサービスです。サービス提供会社はラッキーバンク・インベストメント株式会社です。
ラッキーバンク・インベストメント株式会社の社長は、以前船井財産コンサルタンツで資産の組み替えや相続税対策などのコンサルティングを担当していた田中翔平氏です。そこで学んだ税務、不動産業務知識などを生かして「ラッキーバンク」のサービスを立ち上げたとのことです。
ラッキーバンクのサービス内容
「ラッキーバンク」は、日本初の不動産特化型ソーシャルレンディングサービスで、「全案件不動産担保付き」を謳っていました。借り手企業は、住宅のリノベーション業者や不動産管理業、戸建て開発などの不動産事業者でした。
投資利回りは年利換算で6~10%ほどと高い水準で、多くのユーザーを集めており、サービス終了時点での累計調達金額は約155億円にも上っています。
ラッキーバンク事件とは?
いわゆる「ラッキーバンク事件」は、ラッキーバンク・インベストメント株式会社は金融当局から2回の行政処分を受けたことを指します。以下でその詳細を解説していきます。
1回目の行政処分
「ラッキーバンク」の不適切な業務について、 ラッキーバンク・インベストメント株式会社は2018年2月に最初の指摘を受けています。証券取引等監視委員会が指摘した内容は以下のとおりです。
・田中代表の親族が経営する不動産会社に対して、借入金の返済が困難な状況となっていることを認識したにもかかわらず、貸付を行っていた。
・正式な不動産鑑定評価を行っていないにも関わらず、「不動産価格調査報告書」をウェブサイト上の募集要領に掲載している。
上記の指摘を受けて、関東財務局より業務改善命令の行政処分が下されました。
その後の経緯
「ラッキーバンク」は、指摘を受けて以降新規ファンド募集を停止。2018年6月には業務改善報告書を関東財務局に提出しています。この報告書の中で、複数ファンドにおける返済遅延を報告しており、そのファンドの本数が152本、総額45億8000万円にも上ることが報告されています。
そして、2019年1月には返済遅延ファンドについて、サービサーへの債権譲渡を行いました。その後実際に投資家に返済された金額は、投資額のわずか30%ほどしかありませんでした。
2回目の行政処分
2019年3月、ラッキーバンク・インベストメント株式会社は証券取引等監視委員会から2度目の指摘を受けています。指摘内容は以下です。
・貸付先が債務不履行に陥って以降、貸付債権の回収に向けた十分な取組みを行っていない。また、担保不動産の競売見込価額の評価は、非常に杜撰である。
「ラッキーバンク」は約50億円の債権を約16億円で譲渡しましたが、その経緯にいろいろと不適切な点があったとの指摘内容です。上記の指摘を受け、関東財務局より、金融商品取引業者登録の取り消し、および業務改善命令の行政処分が下されました。
その後の経緯
「ラッキーバンク」はすでにこの時点でサービスを停止しており、また債権譲渡および投資家への分配も行われた後だったため、実質的な効力はありませんでした。
「不動産担保があるから安全」ではない
今回は、ラッキーバンク事件について紹介しました。
「ラッキーバンク」のサービス開始当初は、「全案件不動産担保付き」「10%の高利回り」といったサービス内容は投資家にとって非常に魅力的に見えました。そのため多くの投資家がラッキーバンクで口座開設し、投資を行いました。
しかし、その実態は金融当局からの指摘にある通り、融資の多くが身内の企業に流れており、しかも担保不動産の鑑定額も不適切なものでした。そのため、結局返済遅延が発生した後もそれらの不動産担保は有効に機能せず、結果として「不動産担保があるから安全」と考えていた多くの投資家が損失を被ることとなりました。
投資に「絶対」はありません。ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングで投資を行う人は、募集内容の確認や分散投資といった投資の基本に改めて気を付けることを強くおすすめします。
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